以下、 【JIS C 0920:2003 電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)】 の抜粋です。
少し説明を加えた部分もあります。
前文には、
「IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code) を
基礎として用いた。」
と、IECとの関係が書かれています。
実際には内容を翻訳したのみで記号/数値はそのまま用いられており、
IECとの整合性を心配する必要はありません。
IP | 2 | 3 | C | H |
– | ① | ② | ③ | ④ |
① 第一特性数字
数字 | 電気機器に対する保護内容 (外来固形物の侵入) | 人に対する保護内容 (危険な箇所への接近) |
---|---|---|
0 | (無保護) | (無保護) |
1 | 直径≧50 mm | 拳 |
2 | 直径≧12.5 mm | 指 |
3 | 直径≧2.5 mm | 工具 |
4 | 直径≧1.0 mm | 針金 |
5 | 防じん形 | 針金 |
6 | 耐じん形 | 針金 |
X | 第一特性数字を省略 | 第ニ特性数字を省略 |
第一特性数字には2つの目的があります。
イ:外郭内の電気機器を外来固形物の侵入から保護する。
ロ:外郭が人体の一部又は人が所持する工具などの侵入を防ぐか又は制限し、人が危険な箇所へ接近しないように保護する。
<イ:電気機器に対する保護>
1-4は侵入しないことを条件とします。
5は塵埃が侵入しても電気的特性を損なわないこと、6は塵埃が侵入しないことを条件とします。
<ロ:人に対する保護>
1-2は、侵入しても適正な空間距離を確保していること、3-6は侵入しないことを条件とします。
② 第ニ特性数字
数字 | 電気機器に対する保護内容 (有害な影響を伴う水の浸入) | – |
---|---|---|
0 | (無保護) | |
1 | 鉛直落下 | |
2 | 落下 (15 度偏向) | |
3 | 散水 (Spraying) | |
4 | 飛まつ (Splashing) | |
5 | 噴流 (Jetting) | |
6 | 暴噴流 | |
7 | 一時的潜水 | |
8 | 継続的潜水 | |
X | 第ニ特性数字を省略 |
1-2は、滴下する水滴(決まっています)によって有害な影響を及ぼさないことを条件とします。
3-6は、それぞれの条件によって与えられる水によって有害な影響を及ぼさないことを条件とします。
7は、外郭を一時的に水中に沈めても有害な影響を生じる量の水の浸入がないことを条件とします。
8は、特別に定めた7より厳しい状態でも有害な影響を生じる量の水の浸入がないことを条件とします。
③ 付加文字(オプション)
文字 | – | 人に対する保護内容 (危険な箇所への接近) |
---|---|---|
A | 拳 | |
B | 指 | |
C | 工具 | |
D | 針金 |
付加文字は、第一特性数字の「危険な箇所への接近」に対し、その内容を上書きするために使われます。
これには2つの場合があります。
・危険な箇所への接近に対する保護が第一特性数字で示されている等級より上位の場合
・危険な箇所への接近に対する保護だけを表示したい場合(このとき第一特性数字は“X”)
④ 補助文字(オプション)
文字 | 電気機器に対する保護内容 (補助表示) | – |
---|---|---|
H | 高圧機器 | |
M | 試験は動作中に限定 (回転機のロータなど) | |
S | 試験は停止中に限定 (回転機のロータなど) | |
W | 所定の気象条件で付加的な保護 |
個別製品規格において試験方法などが明確に示されていれば、補助文字でこれを表示することができます。
表示例
IP44 | 文字なし オプションなし |
IPX5 | 第一特性数字を省略 |
IP2X | 第二特性数字を省略 |
IP20C | 付加文字を使用 |
IPXXC | 第一・第二特性数字を省略 付加文字を使用 |
IPX1C | 第一特性数字を省略 付加文字を使用 |
IP3XD | 第二特性数字を省略 付加文字を使用 |
IP23S | 補助文字を使用 |
IP21CM | 付加文字及び補助文字を使用 |