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2025.8.22
技術情報
まずは塗料に用いられるバインダーについて、もう少し細かく分類してみましょう。
大分類 | 中分類 | 小分類 |
---|---|---|
天然樹脂 | ロジン | |
琥珀 | ||
コーパル | ||
ダンマー | ||
ラッカー(本来の) | ||
合成樹脂 | 溶剤系 | アルキド樹脂 |
アミノアルキド樹脂 | ||
ビニル樹脂 | ||
アクリル樹脂 | ||
エポキシ樹脂 | ||
ウレタン樹脂系 | ||
不飽和ポリエステル樹脂 | ||
水系 | エマルジョン | |
水溶性樹脂 | ||
無溶剤系 | 粉体塗料 | |
トラフィックペイント | ||
その他 | 無機材料 | 純シリコーン |
変性シリコーン | ||
繊維系誘導体 | ニトロセルロース | |
セルロースアセテートブチレート | ||
メチルセルロース | ||
塩化ゴム |
この表は「塗料」のバインダーを分類したものです。
「塗料」として同じ名称が用いられていても、 別の形態と形成方法をもって提供されたり、それによって「塗膜」の 性質にも違いが出たりすることに注意してください。
アクリルやウレタンはその代表です。 ここでは、塗料によく用いられるバインダーの樹脂としての 一般的な特徴と、現在その名称を用いている塗料について整理します。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを 主成分とした重合物です。 重合させる物質との組み合わせによって多様な性質を得る事が可能です。 有名なのはメタクリル酸エステル樹脂で、 これは無機ガラスの代替として急速に発展しました。 一方、その着色の容易さによって、塗料用にアクリル酸エステルを 液状にしたものが用いられています。 屋外塗料としては低価格汎用品として捉えられているようです。
ウレタンはウレタン結合を有する重合体の総称で、 水酸基を持った樹脂とイソシアネート基をもった硬化剤との 重合によって作られます。 こちらも組み合わせによって特徴は様々に変化します。 ウレタンフォームやウレタンエラストマーはその用途から 耐候性に注意が必要ですが、屋外塗料のバインダーとしては、 比較的耐候性に優れたものが多いと言われています。
エポキシ樹脂とはエポキシ基を有する樹脂の総称です。 主にプレポリマーと硬化剤との2液型で施工され、成形/充填材、接着剤が 家庭用では有名ですが、やはり組み合わせによって物性を積極的に 変化させることができます。 塗料に使用された場合は、特に耐水性、耐薬品性、 付着性に優れますが、耐候性はあまり良くないとされています。
アルキド樹脂はポリエステル樹脂の一種です。 塗料としてはいわゆる「ペンキ」に早くから使われてきましたが、 ウレタン塗料などが開発されて以来、一般には木材の塗料として 見られる程度になりました。
メラミン樹脂を用いた代表的な製品は食器です。 熱硬化型ではありますが、接着剤やコンポジット充填材としてだけでなく、 成形品として広く用いられるのが特徴です。 一方、メラミン樹脂塗装はアルキド樹脂とメラミン樹脂とを 混合して用いた塗装です。 アルキド・メラミン樹脂塗料と呼ぶのが正しいでしょう。 塗膜は焼付けによる熱硬化型で、バインダー本体は アルキド樹脂でありメラミン樹脂は架橋に寄与します。 同じ焼付け塗装に用いられるアクリルに比べ焼成温度が低いという メリットによって広く使われていますが、 屋外での耐候性に難があると言われています。
シリコーン樹脂は、炭素炭素結合より耐熱性耐候性や 電気的特性に優れたシロキサン結合(Si-O-SI)を主骨格とした樹脂で、 ゴムやエラストマー、ゲル、オイルとしてあらゆる産業で 多くの用途に使われています。 「シリコーン樹脂塗装」と呼ばれるものは、このシリコーン樹脂を アクリル樹脂やポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などと 共に使用したものです (例えばアクリルシリコーン塗装と呼ばれることもあります)。 この塗装はシリコーン樹脂の特長をそのまま受け継ぐわけでは ありませんが、それでも他の塗装に比べて 耐熱性耐候性に優れているとされます。