WORKS
産業機械カバーデザイン
株式会社シマダマシンツール様
斬新なデザインが際立つ、複数の面を巧みに組み合わせたデザイン
株式会社シマダマシンツール様は、先進的なNC旋盤を手がける工作機械のメーカーです。この度、2主軸1NC旋盤である「2SI-8 Mk-Ⅱ」について、新しいデザインの提案を依頼されました。
新デザインは機能美を追求するだけでなく、企業の象徴でもある青と白を基調にし、「2SI-8 Mk-Ⅱ」が持つスピーディな印象を視覚的に表現することを目指しました。また、ロゴのデザインもご依頼いただきました。
長年使用してきた工作機械のデザインを約20年ぶりに刷新し、機能性と美しさを両立させた「機能美」を重視した外観にしたいと考えていました。その中で、次のような点に悩まれていました。
機能美を備えた外装デザイン
操作性・生産性の向上
このような課題を解決するために、機能美を体現しつつ、作業効率やメンテナンス性も考慮した外装デザインの提案を求められていました。
【傾斜デザインによる美しさと機能性の両立】
カバー上部にはスリリングな傾斜を設けることで、動きのある印象を与えるデザインに仕上げました。
さらに、窓の形状もこの傾斜ラインに合わせて統一感を持たせることで、全体としての調和と美しさを実現しています。
見た目の美しさだけでなく、使いやすさも兼ね備えたデザインです。
【切粉・クーラント飛散対策と操作性の向上】
ワーク交換時に発生する切粉やクーラントの飛散を抑えるため、スライド扉には2枚構造を採用し、簡易的なラビリンス構造を取り入れました。これにより、装置内部への異物侵入を最小限にとどめ、安全性と清掃性を向上させています。
また、本装置の大きな特長である180°回転スピンドルを覆う、半円状の専用カバーも設計。スピンドル全体をしっかりとカバーすることで、飛散を極限まで抑える構造を実現しました。
さらに、スライド扉の開閉に関しては、レール部に切粉が蓄積して動作不良を引き起こすリスクに配慮し、レールおよびローラー部分にはガードを設置。これにより、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな操作性を保てる設計としています。
多くの工場で当たり前に使われているNC旋盤ですが、切粉を実際に出していない時間=アイドルタイムが極めて長いという現象を様々な工場で頻繁に目にしてきました。これらの大いなるムダを解消したい、世界中の工場で当たり前に使われているオーソドックスなNC旋盤で生産性革新を起こしたい、このような想いから
・実稼働率≒100%
・1台で2工程完品加工を行える(機械を2台購入しなくて済む)
この2大コンセプトを持つ極めてオーソドックスな複合NC旋盤:2SI-8 Mk-Ⅱを新たに開発しました。
サイズ :2,507mm(W) × 1,730mm(D)× 2,175 mm( H)
構造:機械フレームに板金カバーを取り付け(防水仕様)
カバー:SPHC + メラミン焼付塗装
扉(窓):カーボグラスSG-AH(PC)
2つある主軸のうち、片方が加工室外に露出しているという他にない構造は、デザイナーを大いに悩ませたことと推察します。
しかしアドライズ様は、この特徴を機能美として具現化する見事なデザイン案を提案くださいました。
さらに機械ユーザーに対する安全性やメンテナンス性の視点も持ち合わせて下さっている点は非常に有難いです。
アドライズ様は製品の特長や、開発者の思いをカタチにする外観デザインの提案に留まらず、組立図面から部品図面の作成に至るまで、およそ設計に関係する全工程を提供できる稀有な機械設計会社です。
今後も製品開発のパートナーとして、アドライズ様と共にユーザーフレンドリーな機械をつくっていきたいと考えています。
IDEA 第54回 機械工業デザイン賞「審査委員会特別賞」