これまでは、「ねじ部」の規格についての整理を行ってきました。この節は、「頭部」を含めた全体の規格についてです。
「頭部」には、2つの機能、締結と駆動とが必要です。
-締結-
ねじを用いた圧縮力によって複数の部品を締結するためには、ねじ部から張りだし、ストッパーの役割を果たす部分が必要です。形状の違いはストッパーの機能そのものを制御する場合もありますが、他部品との干渉の抑止や意匠を目的に設計されたものもあります。
- なべ
- トラス
- 平
- 低頭
- 丸
- 皿
-駆動-
ねじを回転させるためには、道具を嵌合させるための形状が必要です。頭部の外側形状を用いる場合
- 六角
- 四角
- ..など
と、穴形状を用いる場合
- すりわり付き
- 十字穴付き
- 六角穴付き
- ピン六角穴付き
- トライウィング
- ツーホール
- ワンサイド
- ヘクサロビュラー
- ..など
とがあります。
ねじに求める機能がオリジナルなものであったり、特に高度だったり、
あるいは外観に影響したりする場合、
特殊な形状は考えだされそして使われます。
このことにJISなどの規格が実際追いつかないのはむしろあたりまえであり、
逆にそうでなければいけないとも言えるでしょう。
ただ、一般的に使うねじの規格は我々にとって非常に重要なものです。
(無ければ各部の寸法や形状などを全て確認しながら買わなければなりません)
以下にJIS規格の一部(ほとんど名称だけですが)を抜き出してみましょう。
ここでは大分類が駆動、小分類が締結に関わると見ることができます。
詳細はそれぞれの規格を参照してください。
【すりわり付き小ねじ】
(JIS B 1101:1996)
頭部形状 | 部品等級 | サイズ下限 | サイズ上限 |
---|---|---|---|
チーズ | A | M3.5 | M10 |
なべ | A | M1.6 | M10 |
皿 | A | M1.6 | M10 |
丸皿 | A | M1.6 | M10 |
【十字穴付き小ねじ】
(JIS B 1111:1996)
頭部形状 | 部品等級 | サイズ下限 | サイズ上限 |
---|---|---|---|
なべ | A | M1.6 | M10 |
皿 | A | M1.6 | M10 |
丸皿 | A | M1.6 | M10 |
【六角ボルト】
(JIS B 1180:1994)
頭部形状 | 部品等級 | サイズ下限 | サイズ上限 |
---|---|---|---|
六角 | A | M3 | M52 |
【六角穴付きボルト】
(JIS B 1176:2000)
頭部形状 | 部品等級 | サイズ下限 | サイズ上限 |
---|---|---|---|
円筒形 | A | M3 | M52 |
表は省略しますが、他にも、
【止めねじ】
- すりわり付き(JIS B 1117:1995)
- 四角(JIS B 1118:1995)
- 六角穴付き(JIS B 1177:1997)
【タッピンねじ】
- すりわり付き(JIS B 1115:1995)
- 十字穴付き(JIS B 1122:1996)
- 六角穴付き(JIS B 1123:1996)
などがJIS規格に名を連ねています。