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溶融めっき【めっき-6】

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  • A. 電気めっき 
  • B. 無電解めっき(置換型、還元型) 
  • C. 溶融めっき

C. 溶融めっき

最後に溶融(ようゆう)めっき、いわゆる「テンプラ」「ドブヅケ」です。

これは亜鉛めっき(*1)でよく使われます。

以下、溶融めっきの主な工程を、[めっき][膜厚のレベリング][合金化]の
3つに分けて簡単に紹介しておきます。

[めっき]

溶融めっきでは、溶融させた金属をめっき浴とし(融点よりも温度が高い)、
その中に素材を浸漬します。

鉄鋼を素地とした場合の溶融めっきには以下のようなものがあります。

種類最低浴温度
溶融アルミニウムめっき約700℃
溶融55%アルミニウム-亜鉛 
合金めっき
約570℃
溶融亜鉛めっき約430℃
溶融錫めっき約240℃

素材はめっき浴よりも温度が低いので、めっき金属はその表面で凝固することになります。

この方法では、比較的融点の低い溶融亜鉛めっきでも素材の温度は 400℃を超え、
溶融アルミニウムめっきでは 700℃ を超えることになります。

素材が熱的な影響を受けることを考慮しておかなければなりません。(*2)

[膜厚のレベリング]

ガスワイピング、ホットエアーレベリングなど、気体の圧力を利用して膜厚を調整します。

遠心分離器を使う方法もあります。 

[合金化] 

合金化は、加工/成形/溶接性、耐蝕性、塗料密着性などを向上させる目的で行われます。 

以下は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA材(*1))の工程の例です。 

  1. 鋼板を亜鉛めっき浴中に浸漬 
  2. 急速冷却
  3. 再加熱

加熱によって、素材の鉄はめっき層である亜鉛の中に向かって拡散し、
その結果、素材近くでは鉄の多い合金層、表面付近では亜鉛の多い合金層が形成されます。

鉄の多い合金層は硬く脆く、一方亜鉛の多い合金層は柔らかく摩擦が
大きいので、ちょうど良い比率の合金層が主体になるよう、
条件が調整されます。



*1)

亜鉛メッキには電気めっきと溶融めっきとがあります。

一般に、電気亜鉛めっきは制御しやすくめっき厚の均一性や
外観を優先する場合や加熱を制限する場合に、溶融亜鉛めっきはめっき厚を
大きくとる場合に使われます。

電気亜鉛めっきの主な用途は、SECC/SEHCなど一般鋼板、
熱処理が制限される鋼板、小型部品、家電用鉄板などです。

溶融亜鉛めっきの主な用途は、SGCC/SGHCなど一般鋼板、自動車用鋼板、
建築部材、鉄塔などです。

また下表「**材」という略称(総称)は、電気めっき/溶融めっき、
亜鉛/合金化亜鉛、を施した鋼板、と言う意味で整理されたものです。 

種類略号g/m2
溶融亜鉛めっき鋼板GI45~120
合金化溶融亜鉛めっき鋼板GA30~90
電気亜鉛めっき鋼板EG3~50

20g/m2~60g/m2 が、約 3~8μm に相当します。

亜鉛めっき(特に溶融亜鉛めっき)には、素地にまで達する深い傷が発生しても、
亜鉛(鉄より電気化学的に卑)が犠牲陽極となって酸化され、
反対に鉄は陰極となり酸化から保護される、という特徴があります。

また、溶融亜鉛めっきでは、表面にスパングルと呼ばれる独特の紋様ができます。

これは浴の成分や状態によって変わる亜鉛の結晶状態が浮き出たものです。

耐食性に影響はないと言われていますが、外観を重視する用途には配慮が必要です。

*2)

例えば、鋼は 723℃で結晶構造の変化を受けるので、浴温度がこれに近くなる
溶融アルミニウムめっきを行う場合には注意が必要です。

また、比較的低い温度であっても、部材は室温からめっき浴温度までの
大きな温度変化を短時間に受けることになます。

熱による膨張だけでなく部材内の温度差による変形にも気をつけなければなりません。

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